電力のピークカットとは?ピークシフトとの違いや導入メリットについて解説


- ピークカットとはピーク時の使用電力をカットして電力最大需要を低減する手法。
- ピークカットにより電気の基本料金が下がり、コスト低減につながる。
- 電力使用のピークを他の時間帯にずらす「ピークシフト」とは異なる。
企業にとってコストがかかることは、経営上の大きな課題となります。さまざまなコストの中にあって、とくに金額が大きく、その変動に神経を尖らせることになる電気料金。大きな負担となる電気料金の低減に効果的な手法が、電力を最も使う時間帯であるピーク時の使用電力をカットする「ピークカット」です。ここではピークカットについて、同じような手法である「ピークシフト」との違い、導入による具体的なメリットなども交えてご説明します。
1.ピークカットとは?
ピークカットとは、最も使用電力の多いピーク時の使用電力を様々な方法を用いて「カット」し、電力の使用量そのものを低減させる取り組みを指しており、電力の需要を平準化するための手法のことをいいます。最大需要電力の低減によって、電気の基本料金が安価になり、ランニングコストを低減できるという大きなメリットがあります。
メリットが大きいピークカットですが、どのようにして実現させるのでしょうか。その一つに、「自家消費太陽光発電」という方法があります。たとえば、一般的に最も電力を使用する昼間の時間帯に、太陽光で発電した電力を使用することで、最大需要電力を低く抑えてピークカットにつなげるという方法です。
なぜピーク時の電力をカットすると、基本料金が安くなるのでしょうか?ポイントとなるのは、電気料金は「3つのお金」の合計で決まるという点です。「3つのお金」とは、使用電力量で決まる「電力量料金」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金」、そして契約電力で決まる「基本料金」です。
この中でピークカットに大きく関係するのが「基本料金」です。「基本料金」は、スマートメーターで30分毎に計測される平均電力の最大値「最大デマンド」に「基本料金単価」を掛け合わせ、力率(有効に使える電力の割合)を考慮することで決まります。
この最大デマンド、つまりピークの「最大需要電力」が一度でも上がると、たとえ翌月から使用電力を減らしたとしても、基本料金は最低でも1年間は上がったままになってしまうのです。
そのため、最も使用電力の多いピーク時の使用電力を削減することによって、最大デマンドを抑制することができ、電気基本料金の削減につながるというわけです。
2.ピークシフトとの違い
ピークカットと同様に、使用電力を平準化する方法として「ピークシフト」があります。しかし、ピークシフトとピークカットでは意味が異なります。ピークシフトとは、電力の使用量そのものを低減させるピークカットに対して電力の使用を、一般的に電力を多く使用する日中の時間帯から、電力の使用量が少ない夜間などの時間帯にシフトさせて、使用電力を平準化させる方法のことです。
それでは、身近な例を挙げて、ピークシフトを分かりやすくご説明しましょう。その一つに、「蓄電池を使う」という方法があります。たとえば、一般的に最も電力を使用する昼間の時間帯に、電力消費の少ない夜間に蓄電池にためておいた電気を放電することで、最大需要電力を低く抑えてピークシフトにつなげるという方法です。
前述したピークカットは、文字通りピーク時の使用電力を「カット」するため、使用する電力量そのものが減ります。一方のピークシフトは、電力使用のピークとなる時間帯を他の時間帯に「シフト」するというもので、使用する電力量そのものは変化しません。
3.ピークカット導入メリット
ピークカットのメリットである「電気料金の削減」ですが、それでは、実際にどのくらいの金額を削減できるのでしょうか?
たとえば、1kWを1,269円の基本料金で契約しており、蓄電池の使用によって200kWをピークカットするとします。この場合に削減できる電気料金は、1年間でなんと約300万円(200kW×1,269円×12か月)にもなります。
電気料金を低減させる方法の代表例が、「人のいない場所の照明はつけない」「機械のON/OFFはこまめに」「エアコンの温度設定に気を配る」といったものですが、「どの方法に、どのくらいの効果があるのか?」を正確に把握することが難しいうえ、目に見えるほどの効果を得ることはなかなか難しいのが実情です。ピークカットの実施には費用面も含めた相応の準備が必要となりますが、導入メリットでご紹介したような電気料金の低減効果が期待できますので、導入検討の価値は十分にあるといえるでしょう。
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