施設の心臓部を支える受変電設備。そのメンテナンスについて
- 受変電設備には計画的なメンテナンスが重要。
- 受変電設備は「電気工作物」の中の「自家用電気用工作物」に分類される。
- 予防保全により、設備の安定的な運用につながる。
たくさんの電気を使うビルや工場などに設置される受変電設備は、発電所から送られてくる高い電圧の電気を、100Vや200Vの使用できる電気に変換するための機器です。
この受変電設備を用いて安定的かつ安全に電気を使用していくためには、定期的なメンテナンスが重要です。
ここでは受変電設備のメンテナンスについてご紹介します。
1.受変電設備にメンテナンスが重要なのはなぜ?
近年、生産設備の高度化や情報ネットワークの発展によって、受変電設備への信頼性がますます求められるようになっています。
受変電設備が故障し、停止してしまうとビルや工場などの建物施設全体が停電してしまう可能性があります。
建物施設の“心臓部”とも言える受変電設備を停止させないためにも、機器設置後の計画的なメンテナンスが大切です。
2.自家用電気工作物の保安点検
発電所や変電所、配電設備や受電設備などの総称を「電気工作物」と言い、受変電設備もこの一種となります。
さらに詳しく見ると、電気工作物は「事業用電気工作物」と「一般用電気工作物」の2種類に分けられます。「事業用電気工作物」の中でも、電気事業の用に供する電気工作物以外のものは「自家用電気工作物」と呼ばれ、受変電設備はこの「自家用電気工作物」に該当します。
- 事業用電気工作物…発電所、変電所、送電設備
- 自家用電気工作物…高圧、特別高圧の電圧で受電する電気設備など
受変電設備などの自家用電気工作物は、原則として設置者自らが保安規定を作成し、さらに電気主任技術者を選任して保安業務を行うことになっています。
ただし、電気主任技術者の選任が困難な場合には、下記の「電気事業法施行規則」にある一定の要件を満たす場合に限って、保安協会などの外部機関に電気主任技術者の業務を委託する「外部委託承認制度」が設けられています。
電気事業法施行規則(要旨抜粋)
・第52条第2項
自家用電気工作物であって、出力1000kW未満の発電所(原子力発電所を除く。)、受電電圧7000V以下の需要設備、600V以下の配電線路を管理する事業場の工事、維持及び運用に関する保安の監督業務を委託する契約を第52条第2項に規定する要件に該当するものと締結しているものであって、保安上支障がないと所轄の産業保安監督部長の承認を受けたものは、電気主任技術者を選任しないことができる。
3.事後保全と予防保全
受変電設備の保全・保守の方法には、不具合が発生してから修理する「事後保全」と、計画的に設備診断を実施する「予防保全」があります。
事後保全
事後保全とは、不具合が発生した後(事後)に、修理(保全)を実施すること。
設備や機械の不具合が発生した後に、当初使える想定だった機能を発揮できる状態まで修復させる保全方法です。
事後保全の特徴
- ●不具合が発生した後の対処となるため、設備や機械の停止期間が長くなる可能性がある
- ●計画外の多額のコストが発生する恐れがある
- ●稼働率の低い設備や、予防保全では維持費がかかりすぎるケースには有効
予防保全
予防保全とは、定期的なメンテナンスを行うことで、設備が不具合を起こす前に予兆を見つけ出し、補修・部品交換を実施する保全方法です。
予防保全の特徴
- ●異常が軽微な内に計画的に復元作業を行えるため、長期間の設備停止のリスクが少ない
- ●計画的にメンテナンスしていくため、予算化が可能
受変電設備を安定的かつ安全に作動させ、事業所の生産活動を停止させないためには、定期的なメンテナンスによる予防保全が大切です。