キュービクルとは?導入のメリットや注意点を紹介
- キュービクルとは、高い電圧を施設で使える電圧に変換する機械を収めた設備のこと。
- 変圧器や断路器、保護装置など複数の機器によって構成される。
- 感電などの危険性が低く、品質が安定しており狭い場所にも設置できる。
- 設計時は増設などの拡張性を考慮する必要がある。
ビルの駐車場や屋上には、「変電設備」と書かれた大きいロッカーのような箱がよく設置されています。
この箱は「キュービクル」と言い、電圧を変換する機器を収めるためのものです。
ここでは、キュービクルの役割や導入のメリット・注意点を紹介します。
1.キュービクルって何?
キュービクルとは、発電所から送られてくる6,600Vの電気を、施設で使える100Vや200Vの電気に変圧する機器を金属製の箱(筐体)に収めたもの。
正式名称は「キュービクル式高圧受電設備」。
JIS規格では「キュービクル式高圧受電設備(JIS C 4620)」として定められています。
ちなみに、キュービクル(Cubicle)とは立方体を意味する「キューブ(Cube)」から派生した言葉で、パーティションで小さく区切ったスペースといった意味でも使われます。
キュービクル式高圧受電設備は、電力会社との電気供給契約が50kW以上、つまり電気をたくさん使う施設で受電するときに必要になる設備のひとつです。
商業施設や工場、オフィスビル、病院や学校など様々な建物で使われており、主に駐車場や屋上に設置されています。
2.キュービクルの構成について
外から見ただけでは、ただの大きな箱のように見えるキュービクル。
その中には、発電所から送られてくる高電圧の電気を受け入れて、変圧し、各機器に配電するための重要な機器がたくさん収められています。
変圧器はもちろん、断路器・負荷開閉器・遮断機など回路の開閉などを行う機器、保護装置、電圧や電流などの測定・表示を行う計器類、コンデンサなどによって構成されています。
これらの機器が丈夫な箱に収容されているため、感電や停電といったトラブルを防止することにもつながっています。
3.キュービクルを導入するメリットと注意点
数ある受変電設備の中でも、キュービクル式高圧受電設備を導入するメリット、そして注意点はどのようなものがあるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
メリット
■高い安全性
金属製の箱(筐体)に機器を収納するため、充電部などがむき出しにならず、小動物などの侵入を防げることから、感電・停電といったトラブルの発生を防止します。また、屋外に設置する場合は、開放形に比べて風雨や外気、日射の影響を少なくできるため、耐環境性にも優れています。
■設置が容易
キュービクルは工場で完成したものを出荷時(運搬)に1~3面毎に分割します。現地への搬入~据付後に分割箇所の配線接続をすることで完成品となるため、現地で機器設置、機器間配線、組立をする開放形よりも工期が短縮できます。
■狭い場所へ設置可能
キュービクル式高圧受電設備はコンパクトな筐体に機器を収納しているため、駐車場や屋上などの比較的狭い場所にも設置することが可能です。そのため、建物や土地にかかるコストも削減することができます。
注意点
■内蔵機器の大きさの制限
キュービクルは必要な機器をコンパクトに収納することには優れていますが、大きな機器の収納には限界があります。一般的には1,000kVAを超える大形の変圧器の収納は困難です。
■拡張性を考慮した設計が必要
キュービクル式高圧受電設備は一度設計すると、設備を拡張する場合に大きなコストと時間がかかってしまいます。そのため、下記の点を確認する必要があります。
- ●キュービクル内に機器増設用の開閉器や、空き回路といった増設を見越した設計が行われているか否か
- ●追加キュービクルのためのスペースや配線用のピットが施工可能か、フェンスを含めた用地確保が可能か
- ●屋上にキュービクルが設置されている場合は、クレーンの吊り上げ作業に必要なスペースがあるかどうか、吊り上げ時に公道を使用する必要が有るか
電気をたくさん使う施設では、必要不可欠な設備であるキュービクル。
コンパクトで安全性も高く、どんな施設でも設置しやすい受変電設備です。その一方で、高い専門性が必要となることから、実績のあるメーカーと綿密に相談しながら導入することが重要です。