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自律分散協調制御技術 Synergy Link(シナジーリンク)

自律分散協調制御技術

Synergy Link(シナジーリンク)とは?

Synergy Linkは、高コストな中央監視制御装置(拠点管理サーバなど)を使用せずに、機器やシステム同士が協調(Synergy)してつながり(Link)、エネルギーを最適な状態に導くことができるダイヘン独自の制御アルゴリズムです。

Synergy Link(シナジーリンク)でエネルギーマネジメントシステムの課題を解決!

Synergy Linkのメリット

  • 各機器一台ずつを管理する必要がないため高コストな中央監視制御装置が不要
  • 通信ネットワーク機器や管理サーバなどの導入コストを低減
  • 機器の追加や削減などシステム拡張が容易(台数の上限なし)
  • さまざまなエネルギーマネジメントシステムに適用可能

従来、地域・工場・ビル・マンションなどのエネルギーマネジメントシステム(CEMS, FEMS, BEMS, MEMS)においては、機器(太陽光発電・蓄電池など)の監視や制御を行うために中央監視制御装置を使った「一括集中監視制御」が一般的でした。しかし、「一括集中監視制御」によるシステムは、中央監視制御装置と各機器との相互通信や、複雑で高速な制御演算が必要なため高額な導入コストが必要でした。また、設備増強を行うと、中央監視制御装置の通信インフラの増強や大幅な制御ソフトの変更が必要となり、システムの拡張が大変困難であるという課題がありました。

ダイヘンが提案する「Synergy Link」による「自律分散協調制御技術」では、汎用的な演算装置(プライシングゲートウェイ)から各機器にシステム全体の出力を誘導する全体誘導指令「プライス」を発信します。この指令値に応じて各機器が自律的に出力値を決定し、それが連鎖的に調整し合うことで最適なシステム全体の出力状態へと導くことができます。これにより、従来の「一括集中監視制御」において使用される高コストな中央監視制御装置が不要となり、初期導入費用を大幅に低減することができます。さらに、各機器の状態を一括管理する必要がなく、各機器が自律的に調整を行うため、システム拡張に伴う困難も解決します。

「一括集中監視制御」システム

一括集中監視制御によるエネルギーマネジメントシステム

システム拡張

一括集中監視制御によるエネルギーマネジメントシステム システム拡張時

Synergy Linkによるエネルギーマネジメントシステム

システム拡張

Synergy Linkによるエネルギーマネジメントシステム システム拡張時

Synergy Link(シナジーリンク)を利用したエネルギーマネジメントシステムの例

蓄電池を用いたピークカット運転

ピークカット運転

基本電気料金は、一年間の電力需要のピーク値によって決定されているため、ピークカットを実施することにより、基本電気料金の削減が期待できます。
電力使用量の少ない時間帯に蓄電池で電気を貯め、ピーク時の電力を賄いピークカットを実現するために、最も効果的な蓄電池の運用を「Synergy Link」が実現します。

> 「蓄電池によるピークカット」に関するより詳しい情報はこちら

逆電力継電器動作回避運転

逆電力継電器動作回避運転(余剰電力有効利用運転)

自家消費用の太陽光発電が稼働する需要家では、休日など使用電力が少なくなる際に、電力系統への電力の逆潮が発生しないように、受電点に逆電力継電器(RPR)の設置が義務付けられています。
RPRが動作すると、太陽光発電は停止し、その復旧には時間を要します。そのため、休日などRPRが動作する可能性がある場合は、あらかじめ太陽光発電を停止したり抑制状態で運用することが一般的ですが、これは発電機会の損失になっています。
「Synergy Link」を搭載したシステムでは、蓄電池を最適に運用することによって、RPRが動作することを回避しながら太陽光発電の抑制量を最小化します。

平日の運転例

自家消費型太陽光発電 平日の運転

太陽光発電の自家消費と購入電力で使用電力を賄う。

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休日の運転例(従来)

逆電力継電器(RPR)動作

自家消費型太陽光発電 休日の運転

電力使用量が下がり、発電量に余剰が生じると逆潮が発生しないようにRPRが動作して電力系統から切り離される。
これを防ぐために、予め発電量を抑制する必要がある。

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休日の運転例( Synergy Link 搭載の蓄電池システム)

  • 逆電力継電器(RPR)動作回避運転

    電力使用量が下がり、発電量に余剰が生じると、余剰分で蓄電池を充電する。

  • 逆電力継電器(RPR)動作回避運転

    蓄電池が充電上限に達した場合は、太陽光発電の出力を抑制する。

  • 逆電力継電器(RPR)動作回避運転

    天候の変化などで発電量が小さくなると、蓄電池を放電する。

Synergy Linkを搭載したパワーコンディショナなどの各機器が協調し合いながら、その時々の電力使用量や発電量、蓄電池の残量に応じた最適な制御を自律的に行うので、RPRを動作させることなく、太陽光発電の抑制量を最小化します。

将来の展望

バーチャルパワープラント(VPP)への活用

バーチャルパワープラント(VPP)は、IoT(モノのインターネット)技術を活用し、多拠点の小規模発電設備や電力需要を管理するシステムを1つの仮想発電所として制御する機能のことを言います。
大規模発電設備への投資を抑制できることによる経済的メリットのみでなく、脱炭素社会の実現を目指したスマートなエネルギーマネジメントシステムの構築が期待できます。
ダイヘンは様々な国家プロジェクトに参画し、VPP実現に向けた技術開発ならびにビジネスモデル確立を目指しております。

> VPP実証実験に関してはこちら

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脱炭素社会の実現に貢献するダイヘンのEMS