受変電設備とは?役割や構成について
- 受変電設備とは高圧の電気を、実際に使用できる電圧に変換する設備。
- 変圧器や遮断器などの機器で構成され、キュービクルという箱状の筺体に収納される。
発電所で作られた高圧の電気は、電柱に設置される変圧器を通して家庭でも使える100Vや200Vの電圧に変換されます。
しかし、ビルや工場などの一度にたくさんの電気を使う施設では、変換せずに高い電圧のまま電気を受け取り、施設内で電圧を変換する必要があります。
そこで出番になるのが「受変電設備」です。
今回は、受変電設備の役割や構成を分かりやすく解説いたします。
1.受変電設備の役割とは?
発電所から変電所を通して送られてくる高圧の電気を受け入れて、最終的に使用できる電圧に変換するための設備一式を「受変電設備」と呼びます。
大量の電気を使うビルや工場(=需要家※)では欠かすことのできない受変電設備は、一言で表すと「施設内の小さな変電所」と言えるでしょう。
もし、需要家が使用する大量の電気を100Vや200Vといった低電圧で受け取ろうとすると、電線の発熱により大量の電気が無駄になってしまい、電線のケーブルも非常に太くする必要があるため、経済的にも施工的にも現実的ではありません。
そのため、電力需要が50kWを超えることが見込まれる施設では、電力会社から高圧(6,600V)での受電が求められます。そこで受変電設備を設置して、高圧のまま電気を受け取ることになっているのです。
高圧な電力を受電して使用する需要家は、図のような受変電設備を構内に設置し、受変電設備内の変圧器で使用できる電圧に変換して電気を使用します。
※需要家とは、主に電気やガスなどのエネルギー供給を受けて使用している会社、施設、個人を指す。電気においては500kW以上の供給を受けている需要家を”高圧大口需要家” 、50kW以上500kW未満を”高圧小口需要家”、50kW未満を”低圧需要家”と呼ぶ。一般家庭消費者は低圧需要家にあたる。
2.受変電設備の構成とは?
受変電設備は、高圧の電気を受け入れて変圧し、構内の各機器に配電するための機器によって構成されています。
具体的には、区分開閉器、断路器、負荷開閉器、遮断機、変圧器、保護継電器、制御装置、計測機器、配線用遮断器などがあげられます。
これらの機器は需要家構内の電気室などに設置されるか、キュービクルと言われる金属製の箱の中に収納して設置されます。
3.電圧の種別
たくさん電気を使う施設では受変電設備を設置しなければいけませんが、その分電力量料金が安く設定されているというメリットもあります。
ここからは、日本で定められている電圧の種別について見ていきましょう。
電技省令第3条では、電圧の区分を表1のように規定しています。
区分 | 交流 | 直流 |
低圧 | 600V以下のもの | 750V以下のもの |
高圧 | 600Vを超え、7000V以下のもの | 750Vを超え、7000V以下のもの |
特別高圧 (特高) |
7000Vを超えるもの |
街中へ配電されている交流6,600Vは「高圧」という区分になり、この電気を受け入れるためには受変電設備を設置する必要があります。一般的に、高圧契約での受電は低圧契約に比べて電力量料金が格安に設定されています。
7,000Vを超える電圧はすべて「特別高圧(特高)」という区分になり、日本国内で主に使用されているのは20kV、30kV、60kV、70kV、140kVがあります。
これらの電気を受け入れるためには、「特高受変電設備」と呼ばれる機器を設置しなければなりません。電力会社との協議にもよりますが、原則として2,000kWを超える膨大な電力を使う施設では、特別高圧での受電が求められています。
特別高圧契約での受電は、受電設備が高価かつ管理に手間がかかる分、高圧契約よりもさらに電力量料金が安く設定されているケースが大半です。
ビルや工場といった大きな施設では、それだけたくさんの電気が使われます。その電気を効率的、かつ低コストで使用するために受変電設備は大切な役割を担っているのです。