豆知識 / 基礎知識

パワーコンディショナとは?役割と機能を解説

Summary
  • 太陽光発電用パワーコンディショナとは太陽電池で発電した直流電力を家庭やビルで使える交流電力に変換する機器。
  • 日照時間に関わらず安定して発電させる機能が搭載されている。
  • 停電などのトラブルが発生しても、事故を防ぐための機能も備わっている。

昨今のエコ意識の高まりなどから普及が進んでいる太陽光発電。皆さんの普段の生活の中でも、家の屋根や空き地に設置された太陽電池パネルを見かける機会が増えたのではないでしょうか?でも太陽電池パネルで発電した電気は、そのままだと家庭やビルでは使えないってご存知でしたか?
そこで、実際に”使える電気”に変換するために必要になるのが「パワーコンディショナ」です。ここではパワーコンディショナの役割や機能を分かりやすく解説いたします。

1.太陽光発電に必要不可欠!パワーコンディショナの役割とは?

パワーコンディショナ(Power Conditioning System/PCS)とは、太陽光発電システムの中で使われる機器の1つで、太陽電池パネル(モジュール)で作った電気を家庭やビル、工場などで使える電気に変換するインバータのこと。海外ではソーラーインバータ(Solar Inverter)と呼ばれています。

普段、私たちが生活で利用している電気は「交流電力(AC)」です。しかし、太陽電池パネル(モジュール)で発電された電気は、天候などによって発電量が左右される不安定な「直流電力(DC)」なんです。このため、不安定な直流電力を可能な限り多く取り出し、家庭やビル、工場で安定して使用できる交流電力に変換するのがパワーコンディショナの役割です。

パワーコンディショナが直流電力から交流電力へ変換するときには、多少のエネルギーロスが発生してしまいます。そのため、変換効率の高いパワーコンディショナほど、太陽光パネルで発電した電気を無駄にせず、効率よく活用することが可能になるのです。

2.パワーコンディショナの機能とは?電力変換以外にも重要な機能がたくさん

パワーコンディショナには電力を変換するだけでなく、太陽光発電を有効に活用するための重要な機能がたくさん備わっています。早速、パワーコンディショナの代表的な機能を見ていきましょう。

発電量の最大化

太陽光発電は、日照時間や天候によって発電量が左右されてしまいます。でも、曇りの日が続いたからといって発電されなくなり、電気が使えなくなってしまっては困りますよね。その課題を解決するために、パワーコンディショナには発電量を最大化するための機能が搭載されています。それが「最大電力点追従制御(Maximum Power Point Tracking control/MPPT制御)」です。太陽電池パネルから可能な限り多くの電力を取りだして、安定した電力供給ができるよう調整するという重要な役割を担っています。太陽電池パネルは、電流と電圧が一定の組み合わせのときだけに発電される仕組みです。日射などの条件が一定であれば、下図の各軌跡(I-V、P-V)のどこかの点で動作します。

パワーコンディショナとは_3
■I-V特性::太陽電池の特性を電流-電圧で表したもの
■P-V特性: I-V 特性の電流と電圧を掛け、電力と電圧で表したもの。

曇天などで天候が不安定な場合、電圧と電力の変動が大きくなるため、太陽電池パネルで作られる発電量は不安定になってしまいます。
そこで「MPPT(Maximum Power Point Tracking)制御機能」によって、発電量が最大になる電圧と電流の組み合わせ(最大出力点)を自動で見つけ出して、天候に左右されずより多くの発電量を維持できるようにしているのです。

パワーコンディショナとは‗4

また、太陽電池パネルにはパネルの温度が低いほど開放電圧(太陽電池が発生させうる最大の電圧値)・最大動作電圧が上昇し、日射量が大きいほど開放電圧・最大動作電圧が上昇するという温度特性があります。

太陽光発電システムのパネルの直列数を計算する場合は、太陽電池パネルの温度特性を入手して、発電場所の最低気温と最高気温を把握し、パワーコンディショナの動作範囲に特性が一致するように検討する必要があります。

事故の防止

もう一つの代表的な機能として、停電などの異常時にパワーコンディショナの出力を遮断し、事故を防ぐ「系統連系保護機能」があります。系統連系とは、電力の売買のために電力系統と太陽光発電システムを連携させるための仕組みのこと。太陽光発電で作られた電気を売る場合、その電気を電線に送り出します。その際に、停電などのトラブルが発生していたら、停電しているはずの電力系統に電気が流れることになってしまい、復旧工事を行う現場に影響を与えてしまう恐れがあります。

このような事故を防ぐために、周波数の上昇や低下を検出したり、過電圧・電力不足や系統電力の停電を検出したりして、トラブルがあった場合に太陽光発電システムを系統から切り離して保護する機能が搭載されているのです。

 

太陽光発電で作られた電力を家庭やビルでも使えるように変換するのはもちろん、安定した電力供給のための調整や事故防止も担っているという点で、パワーコンディショナは非常に重要な役割を果たす設備なのです。

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