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電力機器Q&A その他

Q1. 油入変圧器の温度はどの程度まで大丈夫ですか?

変圧器は運転中に温度・湿度および酸素などのため、その絶縁物が次第に劣化します。そしてそれが進行すると、外雷・内雷などの異常電圧、あるいは外部短絡の際の電磁機械力などの電気的・機械的異常ストレスを受けた場合、破壊する危険が増加します。
変圧器が運転に入ってから、この危険が非常に高まった時点までを変圧器の寿命と呼びますが、この時点を正確に検知することは非常に困難であって、現段階ではまだその具体的方法が確立されていません。しかしながら、変圧器の寿命はその最高点温度によって最も大きな影響を受けます。
絶縁物の寿命は一般に次式で表されます。

Y= ae-bθH ・・・・・・・(1)
a: 定数  
b: 0.1155 (最高点温度が 80~130℃の範囲)  
θH: 最高点温度(℃)  
θH= θa+θm
θa:冷却媒体温度(℃)
θm:最高点温度上昇(℃)
 

上式から明らかなように、変圧器の寿命に関連する最高点温度は冷却媒体の温度が問題になります。JEC-2200では冷却媒体温度の限度として、最高のほか日間平均および年間平均の値を下記のように規定しています。

冷却媒体の温度

冷却媒体が空気の場合は、その温度はつぎの値をこえないものとする。
最高 40℃
日間平均 35℃
年間平均 20℃

冷却媒体が水の場合は、取入口における水の温度は、25℃を超えないものとする。

気温の変化を大まかに考えて1年を周期とし、年間平均の温度を軸として日間平均気温が正弦波状に変化し、さらに24時間を周期とする1日の気温変化がこれに重ね合わされるとすれば、

θay :年間平均気温(℃)
:日間平均気温の年間変動幅(℃)
:気温の日間変動幅(℃)
t :時間

θm一定、θay=20℃、A=15℃およびB=5℃として(1)式により求めた寿命は、θmが同一の値でかつθaが25℃一定の場合のそれにほぼ等しくなります。
したがって、前述の冷却空気温度の限度内で使用した場合の期待寿命は、冷却空気温度が25℃一定の場合のそれぞれにほぼ等しく、言い換えれば温度上昇の限度は冷媒温度が25℃一定の場合を想定して定めたものとみることができます。
巻線最高点温度と抵抗法により測定される巻線平均温度との差は、多数の実例について検討が加えられた結果によれば、
油自然循環の場合・・・・・・・・・・15℃
油強制循環の場合・・・・・・・・・・10℃
ですので、冷却媒体温度25℃の場合の最高点温度は
油自然循環の場合・・・・・・・・・・25+55+15=95℃
油強制循環の場合・・・・・・・・・・25+60+10=95℃
となり、いずれも95℃となります。

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