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電力機器Q&A 使い方・構造

Q2. 電動機負荷の場合、変圧器はどのように選定すればいいですか?

負荷がモータ負荷の場合の電源用変圧器の容量は一般的に次のようにして求められます。

一般用低圧三相カゴ形電動機の場合、効率=70~90%、力率70~85%程度なので
モータ 10kW以下 変圧器容量(kVA)≧1.8×モータ出力(kW)
モータ 10~30kW 変圧器容量(kVA)≧1.5×モータ出力(kW)
モータ 30kW以上 変圧器容量(kVA)≧1.3×モータ出力(kW)
が目安となります。
またモータを起動する場合、モータの起動電流により変圧器内部及び配線に電圧降下が生じるので、この値が大きい場合(電圧降下10%以下が望ましい)は別に検討し変圧器の容量を大きくする必要があります。
モータの起動電流は起動方法によって変わり、一般に次のようになります。

起動方法 起動電流
全電圧起動 100%
リアクトル起動 20%タップ 80%
リアクトル起動 35%タップ 65%
リアクトル起動 50%タップ 50%
起動補償器 80%タップ 64%
起動補償器 65%タップ 43%
起動補償器 50%タップ 25%
Y-Δ起動 33%

計算例
モータの出力:3Ø75kw.400V
モータの効率:0.9
モータの力率:0.85
モータの起動電流:840A×33%
(Y-Δ起動とする)≒280A

より変圧器は100kVAが目安となります。

またこの場合、起動時の変圧器の内部降下εは
3Ø 100kVAの%インピーダンス(%IZ)=3.5(%)
3Ø 100kVAの%抵抗(%IR)=1.8(%)
3Ø 100kVAの%リアクタンス(%IX)=3.0(%)
3Ø 100kVAの2次定格電流(IN at 420V)=138(A)
モータの起動電流(Is) =280(A)
モータの起動時の力率(一般に20~40%)=0.4
とすると

となり、変圧器の内部で7.1%程度の電圧降下が発生します。また、変圧器のモータ間のケーブル長が長くケーブルの電圧降下が大きい場合は変圧器の容量を大きくし、変圧器の内部電圧降下を小さくするか起動方式を再検討する必要があります。