Q22. F種モールド変圧器を過負荷で連続運転すると寿命はどうなりますか?
変圧器の寿命は
a,b:定数
θH:巻線最高温度 (℃)
定数のbは絶縁物によってきまる値で、F種モールド変圧器の場合、一般的に寿命半減する温度差は、使用絶縁物より8~10℃と言われており、8℃半減を採用すると、
また、定格時におけるθHは145℃とされ、20~30年程度の寿命があるとされています。
一方、変圧器に一定負荷率Kをかけた場合の定常状態の巻線最高温度θHは
θa:等価周囲温度(℃)
θo:定格負荷時の巻線の平均温度上昇値(℃)
θg:巻線最高温度と平均温度上昇との差(℃)
ここで以下の数値※
を代入すれば
となります。
また、巻線最高点温度θHを145℃で連続運転した場合の寿命をYoとし、ある負荷率の最高点温度θで運転した場合の寿命をYとし、Y/Yoを求めると
となります。
上記計算により、変圧器を各負荷率で連続運転すると仮定した場合の寿命低減比をシミュレーションした結果は表1の通りです。
負荷率 K(%) | 巻線最高温度 θH(℃) | 寿命低減比 Y/Yo |
---|---|---|
100 | 145 | 1.0 (基準) |
105 | 155 | 0.421 |
110 | 165 | 0.177 |
※ 日本電機工業会技術資料 JEM-TR 237「モールド変圧器の過負荷耐量」より。
尚、モールド変圧器の寿命を著しく損なわない過負荷運転については、日本電機工業会技術資料(JEM-TR237「モールド変圧器の過負荷耐量」)に記載されておりますので、ご参照ください。