ホーム>製品情報>電力機器>電力機器Q&A>基礎知識

電力機器Q&A 基礎知識

ご質問内容

  • Q1.変圧器の構造上の分類はどのようになっていますか?
    分類 種類
    相数 単相変圧器・三相変圧器・三相/単相変圧器など
    内部構造 内鉄形変圧器・外鉄形変圧器
    巻線の数 二巻線変圧器・三巻線変圧器・単巻線変圧器など
    絶縁の種類 A種絶縁変圧器・B種絶縁変圧器・H種絶縁変圧器など
    冷却媒体 油入変圧器・水冷式変圧器・ガス絶縁変圧器
    冷却方式 油入自冷式変圧器・送油風冷式変圧器・送油水冷式変圧器など
    タップ切換方式 負荷時タップ切換変圧器・無電圧タップ切換変圧器
    油劣化防止方式 無圧密封式変圧器・窒素封入変圧器など
  • Q2.変圧器の電圧・容量上の分類はどのようになっていますか?

    変圧器の最高定格電圧によって、超高圧変圧器、特高変圧器などと呼びます。
    容量については、大容量変圧器、中容量変圧器などと呼びますが、その範囲は曖昧です。JIS C 4304:2013「配電用6kV油入変圧器」は単相10~500kVA / 三相20~2000kVAの範囲を規定しています。

  • Q3.変圧器の用途上の分類はどのようになっていますか?
    種類 用途
    電力用変圧器 発変電所または配電線で電圧を変えて電力を供給する目的に用いられる。 配電用変圧器もこの一種である。
    絶縁変圧器 複数の系統間を絶縁する目的に用いられる。 タイトランスと呼ぶこともある。
    低騒音変圧器 地方条例の規制に合うよう、通常より低い騒音レベルに作られた変圧器。
    不燃性変圧器 防災用変圧器、シリコン油変圧器、モールド変圧器、ガス絶縁変圧器などがある。
    移動用変圧器 緊急対策用として車両に積み、容易に移動できる変圧器で、簡単な変電設備をつけたものもある。

    続きはこちら

  • Q4.変圧器の定格とはどういう意味ですか?

    変圧器を使う時、保証された使用限度を定格といい、使用上必要な基本的な項目(容量、電圧、電流、周波数および力率)について設定されます。定格には次の3種類しかありません。

    (a)連続定格 連続使用の変圧器に適用する。
    (b)短時間定格 短時間使用の変圧器に適用する。
    (c)連続励磁短時間定格 短時間負荷連続使用の変圧器に適用する。

    その他の使用の変圧器には、その使い方における変圧器の発熱および冷却状態にもっとも近い温度変化に相当する、熱的に等価な連続定格または短時間定格を適用することになります。 なお、定格の種類を特に指定しないときは、連続定格とみなされます。

  • Q5.変圧器の定格容量とはどういう意味ですか?

    定格二次電圧、定格周波数および定格力率において、指定された温度上昇の限度を超えることなく、二次端子間に得られる皮相電力を「定格容量」と呼び、kVAまたはMVAで表します。巻線が三つ以上ある変圧器では便宜上、各巻線容量中最大のものを定格容量とします。
    この他、直列変圧器を持つ変圧器、電圧調整器または単巻変圧器などで、その大きさが等しい定格容量を持つ二巻線変圧器と著しい差がある時は、その出力回路の定格電圧と電流から算出される皮相電力を線路容量、等価な二巻線変圧器に換算した容量を自己容量と呼んで区別することがあります。

  • Q6.変圧器の定格電圧および定格電流とはどういう意味ですか?

    いずれも巻線ごとに指定され、実効値で表された使用限度電圧・電流を指します。三相変圧器など多相変圧器の場合の定格電圧は線路端子間の電圧を用います。 あらかじめ星形結線として三相で使うことが決まっている単相変圧器の場合は、"星形結線時線間電圧/√3"のように表します。

  • Q7.変圧器の定格周波数および定格力率とはどういう意味ですか?

    変圧器がその値で使えるようにつくられた周波数・力率値のことで、定格力率は特に指定がない時は100%とみなすことになっています。周波数は50Hz、60Hzの二種が標準です。60Hz専用器は50Hzで使用できませんが、50Hz器はインピーダンス電圧が20%高くなることを考慮すれば60Hzで使用可能です。
    誘導負荷の場合、力率が悪くなるに従って電圧変動率が大きくなり、また定格力率が低いと効率も悪くなります。

  • Q8.変圧器の相数とはどういう意味ですか?

    相数は単相か三相のいずれかに分かれます。単相の場合は二次も単相です。三相の場合は二次は一般に三相です。単相と三相の共用や、半導体電力変換装置用変圧器では六相、十二相のものがあります。単相変圧器は予備器の点で有利です。最近では変圧器の信頼度が向上しており、三相器の方が経済的で効率もよく、据付面積も小さいため、三相変圧器の方が多くなっています。

  • Q9.変圧器の結線とはどういう意味ですか?

    単相変圧器の場合は、二次側の結線は単相三線式が多く、不平衡な負荷にも対応できるように、二次巻線は分割交鎖巻線が施されています。 三相変圧器の場合は、一次、二次ともY、△のいずれをも選定できます。励磁電流中の第3調波を吸収するため、一次、二次の少なくとも一方を△とします。Y -Yの場合は三次に△を設けることが普通です。また、二次側をYとし中性点を引き出し、三相4線式(420 Y /242Vなど)とする場合も多く見られます。

  • Q10.変圧器の使用場所について詳しく教えてください。

    屋内・屋外の区別があるほか、標高が高くなると空気密度が小さくなるため、冷却的にも絶縁的にも影響を受けます(1000mを超えると設計上の考慮が必要です)。また、構造に影響を及ぼす使用状態、たとえば寒地(ガスケット、絶縁油などに影響)における使用、潮風を受ける場所(ブッシング、タンクの防錆などに影響)での使用、騒音レベルの限度、爆発性ガスの中での使用など、特別の考慮を要する場所があります。

  • Q11.変圧器の短絡インピーダンスおよび電圧変動率とはどういう意味ですか?

    変圧器に定格電流を流した時、巻線のインピーダンス(交流抵抗および漏れリアクタンス)による電圧降下をインピーダンス電圧といい、指定された基準巻線温度に補正し、その巻線の定格電圧に対する百分率で表します。また、その抵抗分およびリクタンス分をそれぞれ「抵抗電圧」「リアクタンス電圧」といいます。インピーダンス電圧はあまり大きすぎると電圧変動率が大きくなり、また小さすぎると変圧器負荷側回路の短絡電流が過大となります。その場合、変圧器はもちろん、直列機器、遮断器などにも影響を与えるので、高い方の巻線電圧によって定まる標準値を目安とします。また、並行運転を行う変圧器ではインピーダンスの差により横流が生じるなど、種々の問題に大きな影響を及ぼします。
    変圧器を全負荷から無負荷にすると二次電圧は上昇します。この電圧変動の定格二次電圧に対する比を百分率で表したものを電圧変動率といいます。電圧変動率は下図のように、抵抗電圧、リアクタンス電圧および定格力率の関数です。また二巻線変圧器の場合は次式で算出できます。

    続きはこちら

  • Q12.変圧器の無負荷損および負荷損とはどういう意味ですか?

    一つの巻線に定格周波数の定格電圧を加え、ほかの巻線をすべて開路としたときの損失を無負荷損といい、大部分は鉄心中のヒステリシス損と渦電流損です。また、変圧器に負荷電流を流すことにより発生する損失を負荷損といい、巻線中の抵抗損および渦電流損、ならびに構造物、外箱などに発生する漂遊負荷損などで構成されます。

  • Q13.変圧器の効率とはどういう意味ですか?

    変圧器の損失には無負荷損、負荷損の他に補機損(冷却装置の損失)がありますが、効率の算出には一般に補機損を除外し、無負荷損と負荷損の和から

    で求めたいわゆる規約効率をとります。
    一方、実効効率とはその機器に実負荷をかけ、その入力と出力とを直接測定することにより算出した効率です。

  • Q14.変圧器の励磁電流とはどういう意味ですか?

    一つの巻線に定格周波数の定格電圧を加え、ほかの巻線をすべて開放したときの線路電流実効値を、その巻線の定格電流に対する百分率で表したもので、無負荷電流ともいいます。励磁電流は小さいほど良いですが、容量の大きい変圧器ほど小さいので、無負荷電流の値そのものはあまり問題とならず、それよりも変圧器励磁開始時の大きな励磁電流である励磁突流の方が継電器の誤動作を生じ、遮断器をトリップさせることによる問題が多く見られます。

  • Q15.励磁突入電流とはどのような現象ですか?

    変圧器を電源に接続する場合、遮断器投入時の電圧位相によって著しく大きな励磁電流が流入する場合がありますが、この変圧器励磁開始時の大きな電流を励磁突入電流といいます。
    励磁突入電流は定格電流の数倍~数十倍に対する場合があり、変圧器の保護リレーやヒューズの誤動作の原因になる場合があります。

    続きはこちら