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電力機器Q&A 使い方・構造

Q16. 高調波低減対策として使われる変圧器の多重化について教えてください

最近のパワーエレクトロニクス技術の目覚ましい発展と共に、至るところでサイリスター等の半導体応用機器が使われるようになりました。この結果電源部に種々の高調波が含まれ、それによる障害が問題となっており、高調波低減対策が必須となっています。高調波低減対策としてフィルターを使う方法の他、三相変圧器及び移相巻線付変圧器の組合せ使用により、結果的に変換相数(パルス数)の増加を図り、低減対策が行われています。この方法は、一般に多重化と呼ばれ非常に効果的な方法です。

1. 変圧器の組合せ例と変換相数

その他、36相、48相の組合せもありますが、組合せが複雑になります。
*移相巻線付変圧器とは
一般に1次巻線はU,V,W各相それぞれ1個の巻線となりますが、下記のように各相に2個の巻線を設け、他相の巻線に渡るように結線して移相角を持たせた千鳥結線の変圧器です。

2. 各次数の高調波含有量
一般的に、パルス数pの発生する高調波電流の次数:nと理論最大発生量:Inは次のようになります。

これらをまとめると次のようになります。

高調波次数 n 高調波含有率(%)
6パルス 12パルス 24パルス 36パルス
5 20.0 - - -
7 14.3 - - -
11 9.1 9.1 - -
13 7.7 7.7 - -
17 5.9 - - -
19 5.3 - - -
23 4.4 4.4 4.4 -
25 4.0 4.0 4.0 -
29 3.5 - - -
31 3.2 - - -
35 2.9 2.9 - 2.9
37 2.7 2.7 - 2.7
47 2.1 2.1 2.1 -
49 2.0 2.0 2.0 -
59 1.7 1.7 - -
61 1.6 1.6 - -
71 1.4 1.4 1.4 1.4
73 1.4 1.4 1.4 1.4

以上のように6パルス数の場合は、5,7,11,13...次数の高調波が発生し、12パルス数の場合は、11,13,23,25...次数が更に24パルス数の場合は、23,25,47,49,71,72...の次数となり、これらより低次数の高調波が消去され発生しません。しかし、パルス数が多くなると組合せが複雑になる他、素子数(サイリスター装置の台数)が増えるので高価になり、一般に12相あたりが多くなっています。