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電力機器Q&A 使い方・構造

Q11. 汎用三相変圧器の結線について教えてください

まず、Y結線とΔ結線と比べると、結線図のようにY結線の場合は線電流と相電流は同一となり、相電圧は線間電圧の1/√3となります。またΔ結線の場合は線間電圧と相電圧は同一となり、相電流は線電流の1/√3となります。言いかえるとY結線は巻数が少なくて電流が多く、Δ結線は逆に巻数が多く電流が少ない結線と言えます。高圧の場合や線路電流が比較的小さい場合Y結線を用いると相電圧は、線間電圧の1/√3となり巻数が少なくなり経済的ですが、逆に電流が非常に大きい場合や電圧が低い場合はΔ結線を用いると巻線電流が線電流の1/√3となり、同じく経済的設計になります。

JIS C 4304では、三相50kVA以下はY-Y、50kVAを越える場合はY-Δを標準と定めています。これは経済性を考えて製造されてきた変圧器を規格化したものと考えることができます。Y-Y結線は本来中性点の不安定性から起こる運転上の困難さのために比較的普及していない結線法です。
たとえば単相変圧器を3台使用してY-Y結線を作った場合、変圧器の適正励磁に必要な励磁電流の中で、第3調波励磁電流とこれの倍数の高調波電流は巻線内を流れることができないため、磁束に第3調波分を生じて各相の誘起電圧は、50%程度の第3調波電圧が重なった形のピーク波となり、各相の誘起電圧波高値は正弦波のときの150%程度となり巻線の絶縁がおびやかされることになります。
さらに2次側のY結線の中性点が接地されていると、線路と大地間に第3調波電圧が加わり線路の対地静電容量を通して大きな第3調波電流が流れ、通信障害を起こす場合があります。

このようにY-Y結線の場合の励磁電流第3調波電圧の及ぼす影響は非常に大きく、それが普及を妨げているもう1つの理由と考えられます。これらの現象は単相器3台の場合だけでなく外鉄形三相器、内鉄三相5脚鉄心の場合も同様です。これに対してY-Y結線に一般に使用されている内鉄形三相3脚鉄心の場合は、第3調波磁気抵抗が磁束の帰路において鉄心外部の透磁率の小さい空間を通らなければならないため高くなり、磁束量が非常に小さくなり前述のような短所も避けられます。

3相3脚鉄心における各相同位の磁束(零相磁束)の通路

3相3脚鉄心における各相同位の磁束(零相磁束)の通路