Q8. アルミニウムを溶接したいです。
アルミニウムは二酸化炭素と反応してしまうため、シールドガスにはArやHe、またこれらの混合ガスが使用され、溶接法は主に「交流TIG溶接」や「パルスMIG溶接」が用いられます。
アルミニウムは酸素との親和性が高く、表面は融点の高い酸化被膜(2000℃以上)に覆われています。アルミニウムの融点は660℃と低く、良い溶接のためにはこの酸化被膜の除去が必要となります。ここで、母材側をマイナス、電極をプラスとすると「クリーニング作用」と呼ばれる作用が働き、アーク直下に酸化被膜の無い母材表面を得ることができます。一般的にMIG溶接では電極がプラスなので、そのままクリーニング作用を活用できますが、TIG溶接で電極がプラスの場合「アークの集中性が悪く」「電極消耗が多い」など課題があり、単独での使用はあまり好ましくありません。そのため、電極をプラスとマイナスと交互に切り替える交流TIG溶接を用いることで「クリーニング作用」と「アークの集中性」の両立を可能としています。
WB-W350によるウェーブパルス溶接例
また、アルミニウムは「融点が低く、熱電導度が高い」=「熱集中性が悪いが、一度溶けると溶融部が一気に広がる」という溶接にとって難しい特性を持っています。そのため、パルス溶接やウェーブパルス溶接のような平均電流を抑えつつ、高い電流で母材を溶かし、低い電流で溶融池を冷やすことで溶落ちを防ぐ溶接法が活躍しています。
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