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ニュースリリース・お知らせ 2022年度

世界初の固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」を開発

2022年11月07日

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【世界初】難接合素材の安定接合と大幅な省エネを両立
次世代接合システム「Cold Spot Joining」を開発

■要旨

株式会社ダイヘンは、超ハイテン材やアルミ合金をはじめとする難接合素材の安定接合と従来比最大50%の省エネを両立する次世代接合システム「Cold Spot Joining」(以下、本製品)を世界で初めて開発しました。

本製品は、国立大学法人大阪大学接合科学研究所の研究成果である「固相抵抗スポット接合」をベースに、産学連携による協働研究を経て実用化した第一弾製品となります。

■開発の背景

「2050年脱炭素社会」の実現に向け、世界中でEV化が加速しています。自動車をはじめとする輸送機器業界では、機器の航続距離延長(電費向上)のために車体軽量化が課題となっており、その課題解決のための軽量素材として超ハイテン材やアルミ合金等「難接合素材」の適用が進んでいます。しかし、現在一般的な接合方法として使用されている抵抗スポット溶接法では、母材を高温で溶融するが故に発生する接合部の硬化や熱影響部の軟化等に起因する接合部分の強度低下や品質面の不安により、素材の特性を最大限に活かした軽量化(薄板化)を断念しているケースが多々あります。また、今後更に高強度かつ軽量な素材が開発されその採用が進んでいく中で軽量化(薄板化)を実現するには、素材の特性を損なわない“低温域”での接合が重要な鍵となります。

そこで当社は、溶接・接合技術で世界的トップ水準の研究を行う大阪大学接合科学研究所の研究成果である「固相抵抗スポット接合」に着目、産学連携による協働研究を経て、低温域で素材の特性を損なわずに安定した接合を実現する新接合システムの開発に成功しました。本製品は、素材の適用範囲を大きく拡大させる可能性を秘めており、世界中の自動車業界(輸送機器業界)のみならず難接合素材の接合を要するあらゆるモノづくり業界での活躍も期待されます。

さらに当社は、本製品の今後の展開として、新たな難接合素材への対応や異種金属同士の接合を可能とする製品開発も進める予定です。

■製品名

固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」(コールド・スポット・ジョイニング)

■特長

  1. 難接合素材の高品質な接合
    • ・強度のある超ハイテン材や軟質なアルミ合金まで幅広い素材の接合に対応可能
      a)超ハイテン材:1.5GPa級ハイテン材の安定接合を実現、車体を最大33%軽量化
      b)アルミ合金:アルミ合金の接合で課題となる熱影響部の軟化を大幅に抑制
    • ・溶融せず低温域接合するためチリ(スパッタ)の発生を抑制、後工程での除去作業が不要
  2. 環境負荷低減への貢献
    • ・従来の抵抗スポット溶接に比べ最大50%消費電力を抑制、CO2排出量削減に貢献
    • ・炭素を多く含む鋼への適用拡大により鋼製造時の脱炭工程が不要となり大幅なCO2排出削減に貢献
    • ・低入熱での接合により電極等消耗部品の長寿命化を実現、産業廃棄物の削減とコストダウンを実現
  3. 既存の「抵抗スポット溶接」からの置換えが容易
    • ・接合機器以外は既存の抵抗スポット溶接の設備が流用可能で、導入が容易
固相抵抗スポット接合システム「Cold Spot Joining」

「Cold Spot Joining」
(定置式)

■主な構成品

・電源
・定置式サーボプレス機
・加圧電極アセンブリ

■販売計画

受注開始日 [定置式] 2023年1月
[ロボットガン式] 2023年7月
販売価格 オープン価格

■本件に関するお問い合せ先

株式会社ダイヘン 溶接・接合事業部 企画部
TEL:078-275-2005