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ニュースリリース・お知らせ 2019年度

レーザ・アークハイブリッド溶接システムを販売開始

2019年12月02日

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アルミニウム合金と鋼板の異材接合を実現する
レーザ・アークハイブリッド溶接システムを販売開始

■要旨

株式会社ダイヘン(本社:大阪市淀川区田川2丁目1番11号、取締役社長:田尻哲也、以下「ダイヘン」)は、古河電気工業株式会社(本社:東京都千代田区丸の内2丁目2番3号、代表取締役社長:小林敬一、以下「古河電工」)と共同で、従来溶融接合が困難であったアルミニウム合金(以下「アルミ」)と亜鉛めっき鋼板(以下「鋼板」)の異材接合において品質・信頼性が高い接合を実現するレーザ・アークハイブリッド溶接システムを開発、2020年1月よりダイヘンを窓口として販売を開始いたします。

なお本製品は、幕張メッセで開催されるPhotonix 2019(2019年12月4日~6日、古河電工ブースNo.3-47)、および東京ビッグサイトで開催される2019国際ロボット展(2019年12月18日~21日、ダイヘンブースNo.青海BホールB-18)に出展いたします。

■開発の背景

自動車業界においてはCO2排出量削減(燃費向上)を目的とした車体軽量化のため、自動車部品に高強度な鋼板を適用し板厚を低減することで車体軽量化が図られています。近年の電気自動車(EV)の普及などにより更なる軽量化のためマルチマテリアル化が進むと考えられており、その軽量素材の筆頭となるアルミと鋼板を高品質に接合できる溶接技術が求められていました。

しかし、アルミと鋼板の異材接合においては、融点や熱伝導率といった材料特性の違いにより、アーク溶接や抵抗スポット溶接といった溶融溶接の適用が困難とされていました。また、溶融溶接では母材への入熱が高くなることにより接合部に脆弱な金属間化合物(以下、IMC)が生成されます。IMCを減らすために入熱を下げると十分な接合強度を有するビード幅を形成することが出来ません。これらのことから、溶接による異材接合で実用的な強度を確保することは実質的に不可能とされてきました。

そのため、従来からアルミと鋼板の接合にはリベットや接着剤が用いられる他、接合部分を溶融させない固相接合を中心に、新接合技術の研究開発が進められてきました。しかしそれらの接合方法は、強度や信頼性に課題があるだけでなく、大掛かりな設備や治具、特殊な接合部材の使用や複雑な接合工程が求められるため、ランニングコスト面でも課題がありました。

これらの課題を解決するため、アーク溶接にダイヘン独自のアルミ溶接用の電流波形制御技術と、精密な入熱制御が可能な古河電工のレーザ技術を組み合わせた独自の溶接・接合システムを製品化いたしました。

■特長

  1. 高強度な接合を実現
    • ・アーク溶接法として、極低スパッタを実現するダイヘン独自の「シンクロフィード溶接法」にさらに改良を加えた“アルミニウム合金用電流波形制御法”を採用し、接合部に必要な溶融金属を極低入熱で供給。レーザヘッドは、古河電工独自のビームモード制御機能付き光学ヘッドを採用し、レーザ光を異材接合に最適な形状、入熱量で接合部に照射することで幅の広いビードを形成
      (=IMCの生成を極限まで抑制し、接合強度を高めるビード形状を実現)
    • ・自動車パネルなどに用いられる6000系アルミと鋼板の接合において、高強度な5000系溶接ワイヤとの組合せにより6000系アルミ部で母材破断する接合強度を実現
    • ・適用範囲例
      ○溶融亜鉛めっき鋼板(GI材)と5000系アルミ(Al-Mg系合金)
      ○溶融亜鉛めっき鋼板(GI材)と6000系アルミ(Al-Mg-Si系合金)
      ○アルミ(展伸材)とアルミ(鋳物材)
      (合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA材)とアルミ合金の接合など、適用範囲拡大に向け開発中)
  2. 導入が容易
    • ・アーク溶接をベースとした異材接合技術であるため、現状の溶接ラインに使用されている設備が流用可能
    • ・構造部材の形や生産工程を大きく変更することなく、構造部材の素材をアルミに変更することが可能
  3. 工程時間を半減
    溶接材料として一般的なアルミニウム溶接に使用される5000系ワイヤを用いるだけで、アルミと鋼板の異材接合が可能。他接合法に用いられるリベットや接着剤などといった接合方法と比べ工程時間が半減し、特殊な材料も不要となるためランニングコストを低減。

■システム構成例

  • ○シンクロフィード溶接システム(ダイヘン製)
    溶接電源(ウェルビーシリーズ WB-P500L)
    ロボット(アルメガフレンドリーシリーズⅡ 高精度ロボットFD-A20)
  • ○レーザ発振器(古河電工製)
    マルチモードファイバレーザ(FEC6000M)レーザ出力6kW
    ※レーザ発振器およびレーザヘッド用冷却水循環装置含む
  • ○レーザ・アークハイブリッドトーチ
    古河電工製ビームモード制御機能付きレーザヘッドと、ダイヘン製シンクロフィード溶接用サーボプルトーチを、独自設計にてハイブリッドトーチ化

■販売計画

受注開始 2020年1月(受注生産)
販売価格 オープン価格(仕様により都度お見積り)
販売に関するお問い合わせ先 株式会社ダイヘンテクノサポートの各営業部、営業所まで

■本製品に関するお問い合わせ先

株式会社ダイヘン 溶接機事業部 企画部
TEL:078-275-2005 FAX:078-845-8199