高速電力線通信“D.connect”を開発!
平成28年8月26日
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産業機械に適用可能!ダイヘン独自の技術を盛り込んだ
高速電力線通信“D.connect”を開発!
■要旨
株式会社ダイヘンは、電力線通信(PLC:Power Line Communication)を産業機械に適用できる、ダイヘン独自の高速電力線通信技術D.connect(ディー・コネクト)を開発しました。
今回開発したD.connectは、電力ケーブルを通信信号線として利用する技術であり、工場などのノイズが多い環境においてもADSL並みの速度で安定した高速電力線通信が可能となります。当社の製品に採用することで、機器間の通信信号線を削減することができ、溶接機やロボットの操作性、作業性の大幅な向上を実現すると共に、作業環境の改善を実現いたします。
■開発の背景
溶接機やロボットなどの産業機械には、電源の供給や機器間通信を行うために、電力供給線や通信信号線など様々なケーブルが接続されています。これらのケーブルは機器にとって重要かつ必要なものでありますが、以下のようなデメリットがありました。
- ①機械の動作エリアを制限してしまう。
- ②ケーブル本数が増えると重量も多くなり、機器の機動性が悪くなる。また、ケーブル断線の可能性が高くなる。
- ③ケーブル断線の場合、断線箇所の特定や修理のためのメンテナンス時間がかかる。
- ④ケーブル本数が増えると、機器への接続工数が増え、立上時間が長くなる。
- ⑤多くのケーブルが接続されることで、作業スペースに制約がでてしまう。
- ⑥機器間接続を延長する場合、ケーブル数だけ延長線が必要となる。
電力線通信は、これらのデメリットを解決する要素がありながら、ノイズの影響を受けやすい、複数のケーブルが重なり合うと混信し、通信を確立できないなど、適用には困難な課題がありました。
当社は、長年溶接機やロボット事業などで培ってきたインバータ技術、制御技術から応用したノイズ対策や、ご使用いただいている様々な現場で築き上げた混信対策を施すことで、工場などでも安定した高速電力線通信を行うことができる技術であるD.connectを開発しました。
■開発技術について
1. ノイズ対策
高速電力線通信は、その機器自身や周辺の機器から発せられるノイズの影響を受けやすいことが問題でした。特に溶接現場で問題となるTIG溶接機から発生する高周波ノイズの影響は顕著で、通信を確立することが困難でした。当社ではTIGの高周波ノイズやその他のノイズを特定して、そのノイズの発生する領域を避けて安定した通信を行う方法を確立しました。
2. 混信対策
制御装置と駆動機器間の通信において、制御装置の電源起動時に暗号化された特定のコードを相手の駆動機器に送信することにより、自動的に接続する機器を特定してから通信を開始します。これにより複数の制御装置と駆動機器があり、ケーブルが重なり合って配置しているような現場でも、混信することなく確実な通信が可能となりました。
■今後の展開
第一弾として、D.connectを採用した大型構造物の溶接に最適な溶接機を市場投入した後、当社の様々な溶接機にも順次採用していき、通信ケーブルを削除することによる使い勝手の良さを極めてまいります。その後は当社の他事業部製品にも採用を検討し、よりユーザビリティの高い製品で、お客様のお役に立つよう展開していきます。
■製品に関するお問い合わせ先
株式会社ダイヘン 溶接機事業部 企画部
TEL:078-275-2005