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ニュースリリース・お知らせ 2016年度

大電流炭酸ガスアーク溶接プロセス「D-ARC」を開発

平成28年4月14日

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厚板の生産コストを最大85%削減し、溶接の生産性向上を実現する
大電流炭酸ガスアーク溶接プロセス「D-ARC」を開発!

■要旨

株式会社ダイヘンは、大阪大学接合科学研究所(所長:田中学教授)との共同研究により、建築鉄骨、橋梁、造船および建設機械に使用される厚板溶接作業の大幅な生産性向上を目的とし、炭酸ガスアーク溶接法と直径1.6mm以下の溶接ワイヤを組合わせた、大電流炭酸ガスアーク溶接プロセス(名称:「D-ARC」)の実用化に世界で初めて成功しました。

最大溶接電流1000Aの炭酸ガスアーク溶接法により、厚板の溶接時間を最大80%削減します。また厚板溶接部に必要な開先の面積を最大70%削減可能であり、開先加工時間の大幅短縮および ワイヤ消費量も最大70%低減します。さらに溶接の熱が原因で発生する構造物の変形を最大85%低減することで溶接の高品質化に貢献します。

「D-ARC」を採用することで、生産性の飛躍的な向上が可能であり、生産コスト最大85%の削減を実現します。

■開発の背景

厚板の溶接施工を行う際には、長時間に及ぶ溶接時間、溶接部に必要な開先の加工時間、溶接の熱による変形の発生など、溶接構造物を高能率且つ高品質に生産するために、多くの課題を抱えています。

また、昨今の建築鉄骨業界では、東京五輪関係のインフラや東北震災復興など建築工事の需要は多いものの、溶接工不足や高能率化・自動化が深刻な課題であり、脱技能化と作業効率の向上を実現する新溶接プロセスの開発が切望されています。

溶接の作業効率を高めるためには、大電流による溶接が必要となりますが、炭酸ガスアーク溶接で500A以上の電流を使用すると、アーク現象ならびに溶接ビードが非常に不安定になり、溶接欠陥が多発し、従来技術での実用は困難でした。

当社では大阪大学接合科学研究所と共同で、高輝度X線透過型溶接観察装置を用いて、溶接電流500A以上の炭酸ガスアーク現象の解析を実施し、当社のデジタルインバータ制御式溶接機により、世界初となる溶接電流500A以上の炭酸ガスアーク溶接の安定化制御に成功し、溶接工程における生産性の飛躍的な向上に貢献する大電流炭酸ガスアーク溶接プロセス「D-ARC」を開発しました。

■本ソフトの特長

1. 溶接時間を最大80%削減

最大電流1000Aの炭酸ガスアーク溶接を行うことで、従来は溶接が完成するまでに同じ個所を数回溶接していたが、1回の溶接で完成させることができるため、溶接時間は最大80%削減可能となります。またシールドガスの消費量も最大80%削減します。

2. 開先断面積およびワイヤ消費量最大70%削減

厚板溶接を行う際に必要な開先の加工面積を最大70%削減することで、開先加工時間を大幅に短縮するとともに、溶接ワイヤの使用量も最大70%削減されます。これにより溶接ワイヤのランニングコスト低減を実現します。

3. 溶接時に発生する変形量を最大85%低減

溶接が完成するまでの回数が大幅に減るため、溶接材料に投入される熱量が大幅に低減します。これにより溶接構造物の熱による変形が少なくなり、溶接後に行う変形の修正作業時間が短縮されます。

4. 厚板の生産コストを最大85%削減

厚板を1回の溶接で完成させることで、溶接前工程、溶接工程、溶接後工程のすべての工程の短縮が可能で、生産コスト85%削減が可能となり生産能効率が飛躍的に向上します。

■今後の展開

実用化に向けた製品開発ならびにお客様の生産現場でのフィールドテストを実施し、2016年度内の市場投入を計画しています。

■本開発品に関するお問い合わせ先

株式会社ダイヘン 溶接機事業部 企画部
TEL:078-275-2005