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溶接Q&A 気づきにくい溶接トラブル

Q5. 磁気吹きとはなんですか?教えてください。

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磁気吹きとは、磁力によって溶接アークが偏向することで溶接が不安定になる現象です。磁力のもとは溶接電流です。フレミングの左手の法則で習ったように、電流が流れると磁界と力が発生します。
溶接アーク周辺の磁力線が急変したり、磁界が大きく歪んで非対称になったりすると、アークに加わる磁力が変化して、アークの向きが変化するなど、いわゆる磁気吹きとなります。磁界や磁力は目に見えないものなので、経験したことがないと磁気吹きであることすらわからないやっかいな現象です。アークが長くて溶接電流が小さいとその影響がもっとも大きくなります。

磁気吹きと疑われる代表的な状態は
アークの向きが偏る。ビードが偏ったり、蛇行、くびれたりする。
だいたい同じ溶接箇所にさしかかると溶接中に「ポンまたはポッ」と音が鳴り出す。進行すると連続で音がする。特に溶極式ではワイヤが突っ込み「パンパンアーク」と表現される状態になります。

磁気吹きにの主な原因は、
溶接ワーク中を流れる電流の方向や分流の具合が急変する。
磁性材料(磁石がくっつく金属)の場合ワーク端で、磁力の線が密度を増す。
至近距離で2つ以上のアークを同時に発生させると、相互に磁力が干渉する。
溶接物や溶接する箇所の近くに磁化したものがある。
などあります。

磁気吹きの主な対策
・溶接の母材ケーブルを複数本接続し、溶接電流を常に分流させ一方向の磁界を強くさせない。
・ワーク端を見かけ上、延長するようにタブをつけ、端部での磁界急変を避ける。
・長年使っている溶接治具自体が強く磁化している場合は、消磁するか治具を交換する。
・多電極の溶接では、距離をとって、干渉しないようにする。
・溶極式のパルス溶接機の場合はベース電流を大きくする。
などが挙げられます。しかし、万能な対策はない為、試行錯誤を伴うことが多くなります。

「マグ・ミグ溶接Q&A 日本溶接協会 溶接棒部会編 産報出版」等の専門書籍にも記載されております。そちらもご参考になさってください


TIG溶接の磁気吹き

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