Q3. ワイヤ曲り具合と、給電について教えてください。
溶極式のアーク溶接は、溶接トーチの先端にある給電チップ穴の内面にワイヤを接触、こすりながら給電を行います。このため、ワイヤが極端にまっすぐになっていると、穴の内面とワイヤの安定確実な接触ができなくなり、給電不良の状態になります。
溶接ワイヤのターゲット性能を向上させる為、もともと曲りの少ないパックワイヤに対して、ワイヤ矯正器でワイヤをさらに真っ直ぐにすることも現場で見受けられます。真っ直ぐなワイヤは、チップ内面での接触が不安定でアーク長がふらふらします。
ワイヤの曲り癖確認方法
・溶接姿勢のままワイヤをインチングし、チップの先から2mほど自然に出します。ワイヤを切って床に放り投げて、円を描けない、蛇行するものは給電不良になる状態とまず判断してください。また、直径80cmよりも大きい円を描く場合も給電は安定しません。
ワイヤ曲りとその対策
・ワイヤ矯正器でわざと一定の曲り癖が直径80cmよりも小さくなるように調整してください。
・パックワイヤの場合は、トーチでワイヤに一定の曲りのつきやすいカーブドトーチと組み合わせたり、ワイヤとの給電性能を良くするいわゆる強制給電型のトーチと組み合わせる必要があります。
・アルミニウムの溶接ワイヤは柔らかい故に送給経路(特にローラ部)で変形しやすいものです。このため、変形するのを前提として、チップの穴も大きめになっております。アルミニウムのパックワイヤは市場ではあまり見ないものですが、使用すると真っ直ぐなワイヤと給電不安定で溶接が安定しないことがよくあります。この対策は難しく、リール巻のワイヤに交換することがほとんどです。