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溶接Q&A 気づきにくい溶接トラブル

Q2. シールドガスの露点が溶接に及ぼす影響について教えてください。

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露点は、気体に含まれる水分量を示すのに用いられます。一見、湿度と似ていますが、露点は湿度よりももっとごく微量な水分量を表すのによく用いられます。露点は気体をどんどん冷却したときに、含まれる水分が凝結し,物体表面に露となって付着する(湿度100%になると同じ意味)温度で表します。露点の計測には専用の露点計を用います。
溶接用のガスとしてボンベに充填する場合、アルゴンガスに求められる露点温度は-60°C以下と非常に低温です。逆にそれだけ水分を含まないドライなガスを溶接用として用いています。

アルミニウム溶接のブローホールと露点について
アルミニウムは、溶融すると溶融金属中に水素を多量に含むことができるが、固体になると含むことができる量が極端に少なくなる材料です。このため、溶融中に取り込んだ水素が、ビードが凝固すると、ブローホールとなって現れます。この水素の供給源が水分になります。
アルミニウムの溶接でブローホールを防止するには、 -50°Cや -60°Cのような非常に低い露点のシールドガスをトーチ出口で供給する必要があります。
特にアルミニウムの溶接は露点の維持管理が大切です。

シールドガスの露点性能を維持のためにすること

露点性能のよいガスホースを使用する。ゴムホースよりテフロンやフッ素樹脂系を用いる。

ガスの接続金具もバンド締めよりも、きちんと圧着しているものを用いる。

ガスホースはできるだけ連結しない(継ぎ目を増やさない)。

その他の対策

作業開始前に、ガスを5分ほど放出させ、ガス経路内に付着した水分を除去する。

水冷トーチ使用の場合、冷えすぎてトーチが結露しないようにする。気温より低い温度設定で、チラーを用いたトーチ冷却を行わないようにする。

溶接物の表面についた結露は、結露がなくなる程度に加熱するか、作業環境自体を低湿度状態にエアコンで管理する。

「アルミニウムの溶接 Q&A50 軽金属溶接構造協会」等の専門書籍にもいろいろ記載されております。そちらもご参考になさってください。

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