Q1. 電撃(感電)による人体への影響について教えてください。
まず、人体の約60%は水分で構成されており、電流を流す導電体と考えることができます。一般に、電撃による傷害の程度は、体内に流れる電流の大きさによって決まります。体内に流れる電流は、「オームの法則」によって概算することができます。
電圧が低くても抵抗が小さければ電流が大きくなり、電撃による死亡事故になる恐れが出てきます。適切な保護具を着用することで人が帯電部に触れたとしても、ある程度高い抵抗値となるため電撃の危険性はさほど高くありませんが、汗などで濡れた保護具等を使用して帯電部に触れてしまうと、抵抗値が著しく低下し、危険な状態となります。
人によってかなり差があるようですが、電撃による人体影響は、下表のように言われております。さらに電撃の危険性は、電流値以外に電撃を受ける時間の長さや体内に流れる電流の経路によっても大きく変わると言われています。
電流 | 傷害の程度 |
---|---|
約1 mA | 感じる程度 |
約5 mA | 痛みを感じる |
約10 mA | 我慢できないくらい痛い |
約20 mA | 筋肉がしびれて動けない |
約50 mA | かなり危険で死に至ることがある |
約100 mA | 死に至ることが多い |
毎年、溶接作業に伴う感電事故が発生しております。溶接機の点検とメンテナンスはもちろんのこと、労働安全衛生法、労働安全衛生規則に則った溶接作業者への十分な教育が重要となります。