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Q13. 油入変圧器 油面計など付属部品のメンテナンスについて教えてください

1. はじめに(付属品の保守・点検)

油入変圧器の信頼性を維持し、末永くお使い頂くには、日常点検、定期点検といったメンテナンスが必要です。
ここでは、その中で油入変圧器の付属品の交換・修理の考え方及び想定される劣化をもとに付属品の点検方法についてご説明します。

2. 付属品の交換・修理の考え方

油入変圧器を構成する付属品は、変圧器の正常な運転を維持するために、その状態によって交換・修理が必要です。
弊社では、取扱説明書の中で日本電機工業会技術資料「JEM-TR171(配電6kV油入変圧器の保守・点検指針)」に準拠した「付属品の交換推奨時期」を掲載しております。
保守・点検時に、「付属品の交換推奨時期」(表1)に至らない場合でも、劣化がある場合は速やかに交換を行ってください。付属品の劣化を放置すれば、最悪の場合、変圧器本体の故障に至る可能性があります。
付属品を交換する場合には、弊社にお問い合わせの上、変圧器の仕様及び性能にあったものと交換してください。

■付属品の交換推奨時期
日本電機工業会技術資料「JEM-TR171(配電6kV油入変圧器の保守・点検指針)」で付属品の交換推奨時期がまとめられています。

表1 付属品の交換推奨時期

単位:年

部品及び材料 交換周期
油気密ガスケット類 10~15
ダイヤル温度計 10
呼吸口 10~15
同上用油 1~3
吸湿呼吸器 10~15
同上吸湿剤 1~3(適宜)
油面計 10~15

JEM-TR171:2010 抜粋

3. 付属品の点検方法

(1) 付属品の目視点検
付属品で想定される劣化を表2に示します。目視点検で問題があれば、交換する必要があります。

付属品の劣化で変圧器本体の気密が保持できなくなると、水分が変圧器内部に浸入し、絶縁油の絶縁破壊電圧が低下したり、水分量が増加します。最悪の場合、絶縁の劣化により変圧器本体の故障に至る可能性があります。

表2 油入変圧器付属品で想定される劣化による不良
【対象:油入変圧器 容量:2000kVA以下 電圧:高圧、低圧】

付属品で想定される劣化 発生箇所 具体的内容
部品の損傷による
気密不良
油面計付温度計 油面表示面に経年劣化によってクラックが発生し、気密が保持できなくなる。又は、外力が加わった(小石等の飛来)ことによりクラックが発生し、気密が保持できなくなる可能性がある。(油面表示を上下させるために油面計と変圧器内部とは小さい穴で繋がっている)
油面計付
ダイヤル温度計
錆による気密不良 放圧弁 部品のパッキン当たり面に錆が発生し、シール不良となる。又は他の錆が放圧弁の弁下部、変圧器カバー上の油面計用フランジに進行しシール不良で気密が保持できなくなる可能性がある。
油面計付温度計
油面計付
ダイヤル温度計
部品開閉での
パッキン劣化による
気密不良
ハンドホール ハンドホール(カバー)をタップ電圧の変更等で開けた際、閉時に過締めや片締めがあると、シール不良で気密性が保持できなくなる可能性がある。
外部荷重による気密不良 ブッシング 配線用ケーブルのサポートが不十分でブッシングに過度の荷重が掛かり、シール不良で気密性が保持できなくなる可能性がある。

(2) 絶縁油の点検(付属品の劣化が発見された場合)

屋外設置で変圧器本体に水分浸入の可能性がある場合は、絶縁油を点検し問題があれば対策の必要があります。

表3 水分浸入の可能性がある場合の絶縁油の点検

点検項目 点検の要点(いずれかに該当する場合) 原因 対策
絶縁油 全酸化(0.2mgKOH/g未満が望ましい)
体積抵抗率(50℃、1×1012Ω・m超過が目安)
絶縁破壊電圧(30kV以上が望ましい)
水分量(35ppm未満が望ましい)
絶縁油の
劣化・吸湿
絶縁油の
ろ過又は交換

図1「油面計付温度計」例
図2「油面計付ダイヤル温度計」例
図3「放圧弁」例
図4「ハンドホール」、「ブッシング」例

付属品の劣化が発見された場合又は交換される場合は、ダイヘン電機システム(株)各営業窓口までご相談ください。
ダイヘン電機システム株式会社