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電力機器Q&A 基礎知識

Q15. 励磁突入電流とはどのような現象ですか?

変圧器を電源に接続する場合、遮断器投入時の電圧位相によって著しく大きな励磁電流が流入する場合がありますが、この変圧器励磁開始時の大きな電流を励磁突入電流といいます。
励磁突入電流は定格電流の数倍~数十倍に対する場合があり、変圧器の保護リレーやヒューズの誤動作の原因になる場合があります。

励磁突入電流は、電源の電圧波形の最大位置でしゃ断器が投入された場合は発生しませんが、電圧波形が0位置で投入された場合、最大値に達します。
供給電圧と鉄心磁束φとの間に90°の位相差があるため、図のように供給電圧が1/4サイクル後最大値に達した後は小さくなりますが、磁束は電圧と共に減少せずに増加し続け、供給電圧の1/2サイクル後ほぼ定常時の2倍に達し、さらに残留磁束φrの位相が合う場合は磁束は2φm+φrになります。 この結果、鉄心の磁束が飽和し、変圧器の励磁インピーダンスの値が激減して大きな励磁電流となります。
この励磁突入電流は回路のリアクタンスと抵抗の比に従って減衰し、リアクタンス値が大きい(容量が大きい)ほど減衰時間が長くなります。

また、一般に変圧器の巻線は低圧コイルの上に高圧コイルを巻く構造が取られるため、高圧コイルから励磁するよりも低圧コイルから励磁する場合の方が平均直径の関係で励磁突入電流が多くなります。